東洋医学の身体に対する考え方は?
こんにちは、トミナガです!
東洋医学では、身体に対してどういう考えに基づいて治療しているのか?
東洋医学で症状を改善していきたい!と考えている方にとっては、ちょっと気になるところではありますよね。
今回は「東洋医学での身体に対する考え方」について書いていきます(^^)
まず東洋医学では、身体に対して大まかに4つの考え方があります。
・人の身体は自然の一部!
・身体(自然)は陰と陽の2つの性質を持つ
・木、火、土、金、水の5つの構成要素がある
・気、血、津液、精という生命を構成する4つの要素
なんか宗教っぽい・・・
と思われる方もいるかもしれませんが(笑)
この考えを少しでも理解していただければ、
「よく考えたら身体ってそうだよな」と感じていただけるかと思います(^^)
東洋医学の身体に対する考え方は、自然的なもの!
東洋医学は2000年以上前からあって、日本に伝わったのは約1500年前。
つまり、日本では1500年前から臨床を積み重ねてきています。
それだけ莫大な数の臨床を重ねているだけあって、「自然治癒力などの本来の自分の力を整える」という面でかなり優れています。
そんな東洋医学の身体に対する考え方について、ご紹介させていただきたいと思います(^^)
人の身体も自然の一部!
あまり意識する機会がないかもしれませんが・・・
実は、自然界と同じような現象が人間の身体の中でも起こっています。
たとえば・・・
<自然界>
・熱い空気は上へあがって、冷たい空気は下へさがる
・水は上から下へと流れていく
<人間の身体>
・上半身はほてりやすく、下半身は冷えやすい
・体内の水分は上半身から下半身へと流れるため、下半身がむくみやすい
といった感じですね!
また自然界には、「太陽によって大地に熱エネルギーが与えられ、それによって海や湖から水分が蒸発して雲となり、雨を降らす」という循環ありますが、
もしその循環が乱れて、太陽の熱が強くなりすぎてしまったり、海や湖の水量が少なくなった場合、大地はカラカラになってしまいますよね。
この自然界の法則は、身体の水分循環の仕組みにも置き換えることが出来ます。
つまり、乾燥しやすい体質の人は、熱が強すぎるか、水分が少なすぎるのが原因だと考えられるということですね(^^)!
こんな感じで、「自然界の法則に置き換えて人間の身体の状態を判断する」というのは、東洋医学の特徴の一つです。
身体(自然)は陰と陽の2つの性質を持つ
陰と陽はよく聞くワードかと思います。
陰は「夜の月、静か、冷たい、内向的」
陽は「昼の太陽、活発、熱い、外交的」
と分けられるのは、なんとなくわかりますよね(^^)
もしかしたら、陰は陽に比べるとあまり良いイメージがないかもしれませんが・・・
これはどちらが良くてどちらが悪いというものではなく、両方のバランスを保つことが大切なんです。
身体の陰陽のバランスが崩れてしまう例として・・・
陰が優勢となる夜に、昼間のように活発に動いてしまうと、陽が過剰になります。
その結果、興奮しすぎてしまったり、眠れなくなってしまったり、身体がほてるようになってしまう。
(この状態のことを陽証といいます)
逆に、陽が優勢な昼間に、ずっと寝続けてしまうと、元気が出ない、倦怠感、冷えやすくなる、といった状態になります。
(この状態のことを陰証といいます)
この陰陽のバランスが偏っている状態がずっと続いてしまうと、不調として体に支障をきたすようになってしまうんですね(^^;
東洋医学では、この陰陽のバランスを診ながら整えるように治療をしていきます。
木、火、土、金、水の5つの構成要素がある
自然界と人間の身体は、「木・火・土・金・水」という5つの要素から成り立っていて、
各々がそれぞれの働きを持ちながらも、互いに関わり合ってバランスを保っている、という考えです。
五行説とも言いますね!
人間の身体に置き換えると・・・
木→肝
火→心
土→脾
金→肺
水→腎
という風に考えられています。
ちなみにですが、西洋医学の肝臓、心臓、脾臓、肺、腎臓ではありませんよ~(^^)
自然界での木・火・土・金・水を図にすると↓
※山が金なのは、金鉱山というイメージ。雲が金の象徴になるのは、どちらとも形が変わりやすいため。
この「木・火・土・金・水」は自然界でも身体でも、”相生”と”相克”の関係でバランスを取り合っています。
このバランスが崩れたときに、何らかの症状が起こるので、
この関係性を理解しておくことで、「どこに異常があるのか?」と判断・治療できるようになるんですね(^^)
相生関係
相生関係とは、生む・生まれるの関係です。
なので、「木が母、火が子」で母子関係という表現もします。
なぜ木が火を生むの?
イメージつきにくいかもしれませんが、
実は、山火事って倒木したときに木同士(もしくは葉っぱ同士)が擦れて発火することもあるそうなんです。
それに、昔は火を起こすとき、スギのような燃えやすい木を使っていたので、そこから考えられたとも推測できます(^^)
相克関係
相克関係とは、抑制する・される関係です。
相生関係(生み・生まれる)ばかりが繰り返されると勢いが増しすぎてしまうので、バランスを保つために抑制する役割の関係です。
この相生・相克関係が強まったり弱まったりしながら、全体的に調和していきます。
この関係を身体に当てはめて、症状・体質・環境などを診ながら、調和を乱しているところを整えていく。
これが東洋医学の基礎ともいえるところですね(^^)
気、血、津液、精という生命を構成する4つの要素
身体を動かすために必要なものといえば、「気・血・津液・精」です。
西洋医学的に言うと、
「気」はエネルギー
「血」は血液
「津液」は体液
「精」はホルモン
となりますが、全く同じ意味ではないんですよね。
西洋医学でも、エネルギー、血液、体液、ホルモンは大切な物質的な存在として認知されていますが、
東洋医学での考え方では、「気・血・津液・精」はかなり重要な働き・役割を持っています。
「気」
「気」は目に見えないので、「なんか怪しい」と思われがちですが・・・
東洋医学では特に重要な概念で、
生命活動を維持するために必要な極めて細かい物質だと言われています。
空気、雰囲気、陽気、弱気など、よく言葉にも入っているくらいなので、昔の人はかなり重要視していたことがわかりますね!
その身体の中を巡っている「気」に異常があると、
気虚・気滞・気陥・気逆といった状態になって、様々な不調がおこります。
・気虚
身体全体のパワー不足になる。
気力がない、風邪を引きやすい、皮下出血しやすいなど・・・
・気滞
身体が重だるい、張ったかんじになる。
お腹が張る、おならが多い、胃が痛むなど・・・
・気陥
気が下降しすぎ、上昇する力がない状態。
胃下垂や下痢、頻尿など・・・
・気逆
気が上昇しすぎ、下降する力がない状態。
めまい、げっぷ、吐き気やめまいなど・・・
「血」
「血」は、西洋医学的な血液とほぼ同じ意味です。
「気」と「血」はかなり密接な関係にあって、
「気」が「血」を動かし、「血」が「気」を身体中に運び、
「血」が漏れないように「気」が調節したりと、互いに影響を与え合っています(^^)
「血」に異常があると、血虚・血瘀(血オ)・血熱といった状態になって、様々な不調が現れます。
・血虚
血の量が不足している状態。
不眠、物忘れ、手足のしびれ、めまい、月経痛など・・・
・血瘀(血オ)
血の巡りが悪い状態。
皮膚が黒っぽい、くすむ、血管がクモ状に浮く、便秘がち、唇が紫っぽいなど・・・
・血熱
血に熱がこもっている状態。
鼻血がよく出る、出血が止まりにくい、血尿、月経過多など・・・
「津液」
身体の中にある水分のうち、「血」以外のものを「津液」といいます。
「津」はサラサラとした、体表部に流れる水分。
「液」はネットリとした、深層部に流れる水分。
「津液」は「気」と「血」の機能を支える働きをしています。
たとえば・・・
体表部に流れる「津」は、「気」と一緒に余分な熱や老廃物を外に出すという働きをしたり、
深層部に流れる「液」は、「血」と一緒に身体中に栄養を届けたり、関節の動きを滑らかにする働きがあります。
「津液」にも異常が出ると、陰虚・湿・湿熱といった状態になり、様々な不調が現れます。
・陰虚
津液の量が不足して起こる状態。
目・鼻・口などの乾燥、髪がパサつく、声がかすれる、空咳など・・・
・湿
津液が部分的に過剰になってしまう状態。
汗や鼻水が多い、胸が苦しい、下痢しやすい、身体(四肢)が重い、吐き気など・・・
・湿熱
湿が体内の余分な熱と結びついている状態。
吹き出物、暑がり汗っかき、皮ふに炎症・化膿しやすい、胸苦しいなど・・・
東洋医学と西洋医学の「健康」に対する考え方の違い
ここまで読んでくださって、ありがとうございます!
なんとなくでも、東洋医学の考え方について知っていただけたかと思います(^^)
そこでなのですが、
どういう状態が「健康」といえるようになるのか?
これも、東洋医学と西洋医学では考え方の違いがあることも、是非知っていただきたいな、と思います<(_ _)>
簡単にいうと・・・
西洋医学は「身体がある一定の状態を保っている状態」が健康。
東洋医学は「身体の中は絶えず変化していて、その変化に順応できる状態」が健康。
ということです!
「健康」に対する考え方って、割と真逆なんですよね(^^;
西洋医学の「健康」に対する考え方は”恒常性”
西洋医学の「身体がある一定の状態を保っている状態」が健康、というのは・・・
脈拍、血圧、血糖値、心電図、レントゲンなどで数値化・映像化したものを参考にして、
数値が正常で、映像に何も映らなければ「健康」という判断になるということですね。
「数値」を元に戻すことを目的とした治療なので、目標を設定するにはとてもわかりやすいですね!
しかし、その反面・・・
体調が悪いのに数値は正常だと、「原因不明」と言われてしまうことも多々あるので、
困ってしまう患者さんも少なくないという状況ではあります(汗)
東洋医学の「健康」に対する考え方は”変動性”
東洋医学の「身体の中は絶えず変化していて、その変化に順応できる状態」が健康、というのは・・・
私たちの身体は、食事・住まい・天候・人間関係など外部のものの影響、加齢・体質の変化・疲労といった身体の内部からの影響など、常に何かしらの影響を受けています。
これらの影響を受けていても、その変化に対応できる身体であることが「健康」ということですね!
しかし東洋医学では、画像や数値で判断しないので、患者さんの感覚に頼る部分が大きいです。
なので、静かに進行していくような癌などは西洋医学のほうが発見が早い場合があります。
(超ベテラン鍼灸師・漢方医の先生方は、発見してくれるの早いかもですが)
「健康」に関しての考え方が真逆なのですが、これもどちらが良い悪いではないと私は思います。
どちらか一方に偏りすぎると、改善できるものもできなくなってしまいます(汗)
両方の医療のメリットを取って、デメリットになるところを補えるようになれば、最強ですね(笑)
さいごに
東洋医学の考え方は、超・自然的なものです。
現代社会では何かと薬に頼りがちですが、やっぱり副作用もあるので飲みすぎはよくないですよね(^^;
それならまず、自然に自分の身体の自己治癒力を高めていくほうが、副作用もなく安心して続けられます。
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