東洋医学の五臓の働き!治療の基礎となる五行説が超重要!
こんにちは、鍼灸師のトミナガです!
西洋医学では、現れている症状に対して原因となる箇所が一つであると考えることが多く、病院でも科が分かれそれぞれ専門の先生方がおられますが、
東洋医学では、原因は一つの臓だけではなく、複数の臓が絡んでいると考えます。
例えば、耳鳴りにしても耳だけを診るのではなく、「腎」や「肝」など複数の臓を絡めて治療することが基本となります。
なので、結局は全身治療になるので、耳鳴りだけではなく他の症状も治っていくことが多いですね(^^)
今ある症状に対して治療していくのはもちろんですが・・・
一番の目的は、身体(五臓)のバランスを整え、自己治癒力を高めていくことです。
東洋医学では「五臓は支え合い、時には制御し合いながら身体の生命活動を維持している」と考えるので、そのバランスがものすごく大切なんですね!
その五臓の相互関係を説明されているものが、五行説です(^^)
五行説とは、約二千年以上前から数えきれないほどの治療家たちの経験・臨床結果によって生み出された、自然界に則った人体への考え方ですね!
それは宇宙に存在する全ての存在を「木・火・土・金・水」の5つの要素の分ける基礎的な概念で、五臓は以下の振り分けになります。
今回はその五行説における五臓の働きと相互関係について書いていきます!
五臓の働きについて
まず、五臓の働きを簡単にまとめると以下になります(^^)
五臓 | 作用 |
---|---|
肝 | ・「気」を全身に移動させる(疏泄作用) ・「血」を貯蔵、量を調節する(蔵血作用) |
心 | ・「血」を循環させる(主血作用) ・精神、意識を統括する(神志を主る) |
脾 | ・胃腸の消化、吸収を調節(運化作用) ・栄養を全身に送りだす(運化作用) ・身体の組織、器官などを正常な位置に保つ(昇清) ・「血」が血脈から漏れないように防ぐ(統血) |
肺 | ・呼気で体内の不要な気を出す(宣発) ・吸気で体内に必要な清気を入れる(粛降) ・「脾」から送られてきた水分を全身に巡らせる(水道) ・「気」を作り、調節する(主気作用) |
腎 | ・「精」を貯蔵する(蔵精作用) ・吸気を補助して、深く息を吸わせる(納気) ・水分の代謝を調節する(主水作用) |
五臓の働きとしては各々の作用・特徴がありますが、
電車の環状線のようにつながっているので、どこかの臓が不調になれば、どこかの臓も影響を受けます。
そのつながりが五行説でまとめられているので、東洋医学では治療・診断において五行説が欠かせません(^^)
五行説で分かる!五臓の働きの相互作用について
五臓が互いに支え合い、時には制御し合う関係を持つことで、身体の生命活動を維持しています。
支える関係を「相生関係」といい、抑制する関係を「相克関係」といいます(^^)
このバランスが保たれているから、私たちは健康に生活することできます。
ちなみにですが、自然界での相生・相克関係は以下のような感じになります(^^)
・相生関係
・相克関係
相生関係
相生関係では、図のように「肝→心→脾→肺→腎」と支え合う関係にあります(^^)
これを一つ一つ解説していきますね!
「肝」は「心」を生じる
五臓 | 作用 |
---|---|
肝 | ・「気」を全身に移動させる(疏泄作用) ・「血」を貯蔵、量を調節する(蔵血作用) |
心 | ・「血」を送り出す(主血作用) ・精神、意識を統括する(神志を主る) |
「肝」が「心」を生じるとはどういうことか?というと・・・
「肝」の貯蔵している「血」は「心」の血脈によって全身に運ばれますが、そのおかげで「心」の主血作用が機能するからですね!
なので、もし「肝」の「血」が不足してしまうと、「心」の機能が停止してしまうので、生きていられなくなってしまいます(汗)
「心」は「脾」を生じる
五臓 | 作用 |
---|---|
心 | ・「血」を循環させる(主血作用) ・精神、意識を統括する(神志を主る) |
脾 | ・胃腸の消化、吸収を調節(運化作用) ・栄養を全身に送りだす(運化作用) ・身体の組織、器官などを正常な位置に保つ(昇清) ・「血」が血脈から漏れないように防ぐ(統血) |
「心」が「脾」を生じるとはどういうことか?というと・・・
「心」は常に活動している陽気の多い臓で、その陽気を受けて「脾」が働くことができるからと言われています(^^)
「脾」は「肺」を生じる
五臓 | 作用 |
---|---|
脾 | ・胃腸の消化、吸収を調節(運化作用) ・栄養を全身に送りだす(運化作用) ・身体の組織、器官などを正常な位置に保つ(昇清) ・「血」が血脈から漏れないように防ぐ(統血) |
肺 | ・呼気で体内の不要な気を出す(宣発) ・吸気で体内に必要な清気を入れる(粛降) ・「脾」から送られてきた水分を全身に巡らせる(水道) ・「気」を作り、調節する(主気作用) |
「脾」が「肺」を生じるとはどういうことか?というと・・・
「脾」は胃腸を調節して「気・血・津液」を作っていますが、「肺」はそれを全身に運びますが、そもそも「肺」が働くために必要とする「気」も「脾」で作られるからですね!
もし「脾」の作用が低下してしまうと「肺」の働きも悪くなって、外邪の侵入を防げなくなって風邪を引きやすくなります。
「肺」は「腎」を生じる
五臓 | 作用 |
---|---|
肺 | ・呼気で体内の不要な気を出す(宣発) ・吸気で体内に必要な清気を入れる(粛降) ・「脾」から送られてきた水分を全身に巡らせる(水道) ・「気」を作り、調節する(主気作用) |
腎 | ・「精」を貯蔵する(蔵精作用) ・吸気を補助して、深く息を吸わせる(納気) ・水分の代謝を調節する(主水作用) |
「肺」が「腎」を生じるとはどういうことか?というと・・・
「腎」は水が多い臓ですが、その水を巡らせるために必要な「気」を「肺」が送っているからですね!
もし「肺」の働きが悪くなると、「腎」に水が多くなりすぎてしまって冷えてしまったり、逆に水が不足したときに増やすことが出来なくなります。
「腎」は「肝」を生じる
五臓 | 作用 |
---|---|
腎 | ・「精」を貯蔵する(蔵精作用) ・吸気を補助して、深く息を吸わせる(納気) ・水分の代謝を調節する(主水作用) |
肝 | ・「気」を全身に移動させる(疏泄作用) ・「血」を貯蔵、量を調節する(蔵血作用) |
「腎」が「肝」を生じるとはどういうことか?というと・・・
「腎」が持つ「津液」が「肝」の貯めている「血」を潤しているからですね!
「血」は一部の「津液」によって滑らかに循環することができるので(^^)
もし「腎」の水が不足してしまうと、「肝」の「血」がドロドロになって熱が発生します(虚熱)。
相克関係
相克関係では、図のように「肝→脾→腎→心→肺」と制御し合う関係にあります。
生理学的には何かを取り上げる、と考えたほうがわかりやすいかもしれません(^^)
「肝」は「脾」を剋す
五臓 | 作用 |
---|---|
肝 | ・「気」を全身に移動させる(疏泄作用) ・「血」を貯蔵、量を調節する(蔵血作用) |
脾 | ・胃腸の消化、吸収を調節(運化作用) ・栄養を全身に送りだす(運化作用) ・身体の組織、器官などを正常な位置に保つ(昇清) ・「血」が血脈から漏れないように防ぐ(統血) |
「肝」が「脾」を剋すというのはどういうことか?というと・・・
「肝」は「血」を蔵していますが、その「血」は「脾」から取っているからですね!
「肝」にとって「脾」の作用は利益がある、と考えてもわかりやすそうですね(^^)
「脾」は「腎」を剋す
五臓 | 作用 |
---|---|
脾 | ・胃腸の消化、吸収を調節(運化作用) ・栄養を全身に送りだす(運化作用) ・身体の組織、器官などを正常な位置に保つ(昇清) ・「血」が血脈から漏れないように防ぐ(統血) |
腎 | ・「精」を貯蔵する(蔵精作用) ・吸気を補助して、深く息を吸わせる(納気) ・水分の代謝を調節する(主水作用) |
「脾」が「腎」を剋すというのはどういうことか?というと・・・
「脾」は「腎」の水分(津液)を取って、胃腸を働かせているからですね!
「脾」は、「心」の陽気と「腎」の水分で胃腸を働かせて「気・血・津液」を作っています。
「腎」は「心」を剋す
五臓 | 作用 |
---|---|
腎 | ・「精」を貯蔵する(蔵精作用) ・吸気を補助して、深く息を吸わせる(納気) ・水分の代謝を調節する(主水作用) |
心 | ・「血」を循環させる(主血作用) ・精神、意識を統括する(神志を主る) |
「腎」が「心」を剋すというのはどういうことか?というと・・・
「腎」は陰気と「津液」が多く、陰気が「津液」とともに堅まっていますが、活動するためには「心」の陽気も必要になるからですね!
つまり「腎」が働きを発揮するには、常に「心」の陽気が必要だと言うことです(^^)
「心」は「肺」を剋す
五臓 | 作用 |
---|---|
心 | ・「精」を貯蔵する(蔵精作用) ・吸気を補助して、深く息を吸わせる(納気) ・水分の代謝を調節する(主水作用) |
肺 | ・呼気で体内の不要な気を出す(宣発) ・吸気で体内に必要な清気を入れる(粛降) ・「脾」から送られてきた水分を全身に巡らせる(水道) ・「気」を作り、調節する(主気作用) |
「心」が「肺」を剋すというのはどういうことか?というと・・・
「心」は血脈を通して全身に「血」を循環させている陽気の多い臓ですが、単独では「血」を循環させることはできず、「肺」の「気」が必要だからですね!
もし「肺」の「気」が少なくて、「心」の陽気が循環させられないと、胸が熱くなりすぎてしまいます。
「肺」は「肝」を剋す
五臓 | 作用 |
---|---|
肺 | ・呼気で体内の不要な気を出す(宣発) ・吸気で体内に必要な清気を入れる(粛降) ・「脾」から送られてきた水分を全身に巡らせる(水道) ・「気」を作り、調節する(主気作用) |
肝 | ・「気」を全身に移動させる(疏泄作用) ・「血」を貯蔵、量を調節する(蔵血作用) |
「肺」が「肝」を剋すとはどういうことか?というと・・・
「肺」の「気」が循環することで「肝」の「血」が臓腑経絡を栄養しているので、「肺」の「気」が循環すればするほど「肝」の「血」が消耗するからですね!
以上が、五行色体表における五臓の相生・相克関係でした!
東洋医学ではこの考えの基、診断・治療をしていきます(^^)
どの病院にかかっても「原因がわからない」と言われていても、もしかしたら東洋医学では理由のつくものかもしれません。
もしよろしければ参考にしてみてくださいね!
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