【鎮痛編】鍼灸治療の効果とは?体に及ぼすメカニズムを解説します!

痛みとは厄介ですよね。

どこか痛いだけで日常生活に支障をきたしてしまいます。

では、その痛みを鍼灸治療はどう改善していくのか?

そのメカニズムを紹介していきたいと思います^^

・血行が悪くなって痛みがある方

・筋肉の動きが悪くなって痛みがある方

・痛みが慢性化している方

上記に当てはまる方は、鍼灸治療を選択するかどうかの参考になると思いますよ!

目次

【鍼灸の効果】鎮痛その①:血流が良くなることで、発痛物質が流れる

鍼をした皮膚の周りが赤くなる現象があるのですが、それを「軸索反射」といいます。

これは血流が増加して起こる現象です。

なぜ血流が良くなるのか?というと、

血管が拡張されたことで血流が良くなり、皮膚が赤くなる現象(軸索反射)が起こるということですね!

では、なぜこの反応が鎮痛作用をもたらすのでしょうか?

また、ツボは筋肉と骨をつなぐ腱に存在することが多いのですが、これにも血流を良くする秘密があります。

少しメカニズムがややこしくなるのでここでは簡単に説明すると・・・

鍼でツボを刺激

筋肉が一時的に収縮

脊髄⇒脳⇒脊髄⇒末梢⇒α運動神経(筋に運動の指令をする神経)が抑制

筋肉が弛緩

血管が拡がり、血行が良くなる

痛みの物質(ブラジキニンやヒスタミン)が流れ、除去される。

マッサージなどで痛みが軽減する場合もこのメカニズムが作用していると考えられます。

鍼をすると血流が良くなると聞いたことがあると思いますが、

人体の中ではこういった反応が起きているんです^^

まとめ

鍼をすると・・・

・血管を拡張、透過性を高める神経物質が放出される

・腱まわりのツボを刺激、α運動神経が抑制されて筋が弛緩

血管が拡がり、血行が良くなる

【鍼灸の効果】鎮痛その②:免疫細胞から内因性オピオイドが分泌される

鍼灸刺激によって神経細胞や免疫細胞が活性化し、

「内因性オピオイド」という鎮痛物質が体内で分泌されます。

このオピオイドとはモルヒネに似た作用をもつ物質ですが、「内因性」なので化合物ではありません。

では、どのようにして「内因性オピオイド」が分泌されるのでしょうか?

まず、痛みの原因となる組織の炎症や損傷が起こっているところに免疫細胞が集まります。

もともと好中球、単球、リンパ球といった免疫細胞には

「内因性オピオイドペプチド」という分子が蓄積されているので、

放出された「内因性オピオイド」は感覚神経の受容体とくっつき、

「神経の興奮を鎮める!」という情報が伝わります。

こうして痛みの信号の発生は抑制される、という流れです^^

【鍼灸の効果】鎮痛その③:生体エネルギーが鎮痛に関わる作用を持つAI受容体と結合する

生体は生命活動をするためにエネルギーを使っています。

その代表となるのが「ATP(アデノシン三リン酸)」。

このATPが鍼灸などの刺激により、さまざまな分解を経て「アデノシン」となります。

この「アデノシン」は心筋や血管、内臓にある平滑筋、脳や腎臓、血小板や白血球など、

体のさまざまなところにある「アデノシン受容体」とくっついて、

いろんな生理作用を及ぼすことがわかっています。

鎮痛に関しては、4種類ある「アデノシン受容体」のひとつであるA1受容体が関係しています。

【鍼灸の効果】鎮痛その④:不安や恐怖などの感情による痛みを鍼灸刺激で改善

「下行性疼痛調節系」という、痛みを脳から体へ調節するものがあります。

これには脳の中にある中脳中心灰白質(PAG)が起点となって始まる2つの系(ノルアドレナリン系とセロトニン系)が存在しておりまして、痛みの情報伝達をブロックする役割があります。

起点となる中脳中心灰白質が機能低下すると、当然ですが、この作用は弱くなり痛みを感じやすくなります。

ではどういったときに中脳中心灰白質の機能低下が起こるのでしょうか?

不安や恐怖を司るのは扁桃体という脳の部分ですが、

実はこの扁桃体と中脳中心灰白質、強いつながりがあることがわかっています。

どういうつながりかというと、心理的なストレスを受けることで扁桃体が活性化すると、中脳中心灰白質の機能を低下させる神経が活性化するのです。

そして、下行性疼痛調節系の働きが低下し、痛み感じやすくなってしまうということです。

では、それに対して鍼灸刺激は脳に対してどう影響を及ぼすことができるのでしょうか?

まず扁桃体の活性化を抑えるということ。

これらの影響もあって、鍼灸治療後はリラックスすると考えられています。


以上が鍼灸治療の鎮痛作用に関してでした。

戦後すぐアメリカにより謎の多い鍼灸治療を廃止にしようとする動きがありましたが、

先人の治療家の先生方が様々な研究をし、こうして明かされたメカニズムによって鍼灸が存続できています。本当に良かった。

今でも世界各国で鍼灸について研究してくださっている研究者の方々に本当に感謝です。

この情報が参考になりましたら幸いです^^

参考文献:

・山本高穂,大野智:東洋医学はなぜ効くのか?

・矢野忠,川喜多健司:鍼灸臨床最新科学-メカニズムとエビデンス

・熊澤孝朗,西條一止:鍼灸臨床の科学

・小山なつ:痛みと鎮痛の基礎知識

【この記事を書いた人】

大阪訪問鍼灸師(旭はりきゅう)

・鍼灸師歴10年

・漢方養生指導士

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