鍼灸治療に反応する脳の部位について

鍼灸治療によって体の変化を感じられたことがある方は多いと思いますが、

実はほとんどの反応が脳を介しているんです(^^)

それは昔から何となくそうなんだろう、と思われてはいたのですが、

調べる手段も少なかったことからはっきりしたことは分からなかったそうです。

しかし、近年の脳の電気活動を捉える画像の発達によって、

また、脳の血流量が増えることなどもわかってきています。

鍼灸治療のやり方によってはパーキンソン病や片麻痺や対麻痺、アルツハイマーの方が改善されるという報告があるのも、脳血流量の改善によるものだと考えられています(^^)

目次

鍼灸治療に反応する脳の部位

では、どの脳の部位が反応を示すのか?

見ていきましょう!

運動関連領域

一次運動野

手、足、体幹、顔面などの全身の随意運動(自分の意思で動かす)の中枢です。

補足運動野

自分で体を動かすときに、運動の順序付けに関わります。

運動前野

送られてくる運動の情報をもとに、

運動の開始や手順を計画して一次運動野の運動機能を支えるとされています。

大脳基底核

大脳皮質や脳幹、視床、小脳などと連絡を取り合って、

経験や学習で習得した行動を自動的に遂行するために、

目的の運動を細かく制御することとされています。

・生まれつき持つ運動

→噛む(咀嚼)、飲み込む(嚥下)、呼吸、排尿、歩行、姿勢の保持を無意識下に継続すること。

これは脳幹と脊髄も深く関わっています。

・怒りや不安などの情動運動

→大脳辺縁系と脳幹も深く関わっています。

・目的を持った自発的な随意運動

→大脳皮質も深く関わっています。

大脳基底核が損傷されると・・・

不随意運動を伴う運動過多症(ジストニア、ハンチントン病など)、

筋緊張亢進による無動、

寡動をきたす運動減少症(パーキンソン病など)を発症します。

黒質

中脳にある神経核で、ドーパミンという神経伝達物質を合成・貯蔵しています。

ドーパミンは黒質から大脳基底核の線条体に送られ、

手足、体幹の繊細な運動を調整しています。

何らかの原因によって黒質の神経細胞が変性してしまうと、

線条体へ送られるドーパミンが不足してしまい、

大脳基底核による運動機能の調節障害が起こってしまいます。

これがパーキンソン病です。

体性感覚領域

一次体性感覚野

頭頂葉に位置しており、

全身の皮膚の感覚(表在感覚)、

自分の体の動き・位置や筋肉の張り具合(固有感覚)の中枢とされています。

どんな性質の刺激なのか?どんな強さなのか?など、

識別・認識されて必要に応じて他の脳の神経細胞に伝えられます。

つまり、感覚の分析・統合が行われているところです。

二次体性感覚野

一次体性感覚野から信号を受けます。

一次体性感覚野は直接刺激されないと賦活しないそうですが、

二次体性感覚野は注射の映像を見て、痛みの感覚を想像しただけで賦活するそうです。

連合野領域

後部頭頂葉

頭頂葉の後部にある領域で

視覚野(後頭葉)との連絡路を持っており、

視覚からの情報を分析・統合・理解に関係していると考えられています。

側部頭頂葉

頭頂葉の外側にある領域で

感覚性言語野(側頭葉)との連絡路を持っており、

聴覚からの情報を分析・統合・理解に関係していると考えられています。

視覚関連領域

一次視覚野

後頭葉にある視覚野にある領域で、

視覚情報を受け取り処理するところです。

つまり、一次視覚野が情報を処理したことで「見た」と感じることができます。

後頭葉

視覚と眼球運動に関係しています。

学習・記憶関連領域

側頭葉

聴覚の中枢があるところです。

また、ここには側頭連合野とよばれる領域があり、

言葉を認識して意味を理解したり、

聞こえてきた音が何の音なのか解析・識別したり、

見えている物が何なのかを識別する中枢があります。

さらに、新しい記憶の中枢でもあります。

海馬

大脳辺縁系の一部として神経活動を行う大切な部分で、

最近の記憶を集められるところです。

情動関連領域

扁桃体

大脳辺縁系という本能行動や情動活動、記憶に関する機能を果たすところの一部です。

脳の中でも原始的な部分で、奥のほうに位置しています。

扁桃体は主に本能と情動活動を担当。

自律神経の中枢と考えられる視床下部などとも連絡を取り合っていて、

特に嗅覚に関する刺激は扁桃体と大きく関連しています。

島皮質

感覚、感情、動機、認知機能に関与していると考えられていて、

特に、不安・不快感・恐怖という情動に重要な役割があります。

また、近年では口腔顔面領域の味覚、痛覚、歯根膜感覚など複数の感覚情報が処理されていることが明らかになったそうです。

帯状回

大脳辺縁系の一部で、感情による記憶、呼吸器の調節、意思の決定、共感などに関与しています。

また、「自省」の念を形成するとも考えられています。

例えばアルツハイマー病では、

帯状回皮質の代謝が低下していることが脳機能画像で示されていますが、

不潔や不安感情が喪失し、顕著に不潔な挙動(よく言われるのは便をこねくり回すなど)をします。

一方で強迫性障害では、

前部帯状回皮質の異常な興奮が関与しており、

不潔、不安感情が鋭敏になってしまいます。

報酬系領域

腹側被蓋野と側坐核

腹側被蓋野はドーパミンを放出する神経細胞が集まっているところです。

腹側被蓋野から側坐核へドーパミンが投射されますが、

それにより、意欲、情動、報償、学習、薬物依存などに関与しています。

また、統合失調症に関わる可能性も指摘されているところです。


以上、鍼灸刺激によって反応を示す脳の部位でした!

注意していただきたいのは・・・

鍼灸治療と脳系の疾患について解明されていないことも多く、

反応を示すからといって、万能なわけではありません(^^;)

しかし、今後の研究によっては鍼灸治療のさらなる発展が期待できるのは間違いありません。

実際・・・

脳梗塞の後遺症である片麻痺が改善されたケース、

パーキンソン病の運動器改善によるQOLの向上や健康寿命の延長に寄与したケース、

扁桃体による痛みの増幅を改善するケースなど。

鍼灸治療によって脳に影響を与え、体にとって良い方向へと向かわせる実例が多くあります。

まだまだ可能性を秘める鍼灸に今後も期待ですね(^^)

(もちろん私も知識だけでなく技術の向上に邁進してます!)

参考文献:

山本高穂,大野智:東洋医学はなぜ効くのか?

矢野忠,川喜多健司:鍼灸臨床最新科学殻-メカニズムとエビデンス

熊澤孝朗,西條一止:鍼灸臨床の科学

馬場元毅:絵でみる脳と神経(第4版)

小林真之:島皮質における口腔感覚情報の統合的理解-エビデンスに基づいた治療法の開発に向けて-

【この記事を書いた人】

大阪訪問鍼灸師(旭はりきゅう)

・鍼灸師歴10年

・漢方養生指導士

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