脳梗塞の後遺症とは?主な症状と鍼灸でお手伝いできること

脳梗塞は、脳の血管が詰まり、脳の一部に十分な血液が届かなくなることで起こる病気です。

治療後も、片麻痺やしびれ、筋肉の緊張、関節の動かしにくさ、痛み、言葉や飲み込みの障害などが残ることがあります。

後遺症の種類や程度は、脳梗塞が起こった場所や範囲によって異なります。

そのため、医療機関での治療を継続しながら、患者さんの状態に合わせたリハビリに取り組むことが大切です。

鍼灸は、脳梗塞そのものを治したり、損傷した脳の組織を元に戻したりするものではありませんが、

後遺症に伴う痛みや筋肉の緊張、身体の動かしにくさなどに対して施術を行い、リハビリや日常生活を続けやすくするためのお手伝いができる場合があります。

この記事では、脳梗塞でよくみられる後遺症や病院で行われる治療・リハビリ、鍼灸でお手伝いできること、通院が難しい方に向けた訪問鍼灸について分かりやすく解説します。

目次

脳梗塞とは?

脳梗塞とは、脳の血管が詰まり、その先に十分な血液が届かなくなることで、脳の細胞が障害される病気です。

脳の細胞は、血液から運ばれる酸素やブドウ糖を必要としています。

そのため、血流が途絶えた状態が続くと、脳の細胞が徐々に傷つき、

手足の麻痺やしびれ
言葉の障害
ふらつき
視野の異常

など、障害された場所に応じた症状が現れます。

脳卒中には、血管が詰まる「脳梗塞」のほか、血管が破れて起こる「脳出血」や「くも膜下出血」があります。

どの病気も似た症状が現れることがありますが、治療方法が異なるため、医療機関で画像検査などを受けて判断する必要があります。

脳梗塞は大きく3つの型に分けられます。

・アテローム血栓性脳梗塞

・ラクナ梗塞

・心原性脳塞栓症

アテローム血栓性脳梗塞

動脈硬化によって、首や脳の比較的太い血管が狭くなったり、血栓ができたりすることで起こります。

高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙などが主な危険因子です。

ラクナ梗塞

脳の奥にある細い血管が詰まることで起こります。

高血圧や糖尿病などによる脳の小さな血管の変化が関係すると考えられています。

心原性脳塞栓症

心臓の中でできた血栓が血流に乗って脳まで運ばれ、脳の血管を詰まらせることで起こります。

原因として心房細動などの不整脈が多く、突然発症して重症になることもあります。

脳梗塞は、発症してから治療を始めるまでの時間が非常に重要です。

顔や手足の片側が動かしにくい、言葉が出にくい、呂律が回らない、急に立てなくなったといった症状が現れた場合は、様子を見ずに救急車を呼びましょう。

症状が短時間で治まった場合でも、一過性脳虚血発作と呼ばれる脳梗塞の前触れである可能性があります。症状が消えたからと安心せず、速やかに医療機関を受診することが大切です。

よくみられる後遺症

脳梗塞では、脳のどの部分が、どの程度障害されたかによって、現れる後遺症が異なります。

同じ脳梗塞でも、手足の麻痺が中心となる方もいれば、言葉や飲み込み、記憶や注意力などに影響が残る方もいます。

また、複数の後遺症が重なることもあります。

外見からは分かりにくい症状もあるため、患者さんの様子を丁寧に確認しながら、状態に合った治療やリハビリを続けていくことが大切です。

片麻痺や歩行障害

脳梗塞の代表的な後遺症が、身体の左右どちらか一方に現れる片麻痺です。

多くの場合、障害された脳とは反対側の顔や手足に、力が入りにくい、思うように動かせないといった症状が現れます。

麻痺の程度によっては、立ち上がる、歩く、着替える、食事をするといった日常動作が難しくなることがあります。

また、身体のバランスを保ちにくくなり、転倒しやすくなる方もいます。

しびれや感覚障害

手足や顔の感覚が鈍くなる、しびれる、触られていることが分かりにくいといった感覚障害が残ることがあります。

反対に、軽く触れただけで強い痛みを感じたり、焼けるような痛みや冷たい感覚が続いたりする「中枢性脳卒中後疼痛」が現れる場合もあります。

感覚が低下していると、けがや火傷に気づきにくくなるため、日常生活での注意も必要です。

筋肉の緊張や関節の拘縮

脳から筋肉への指令がうまく伝わらなくなることで、筋肉の緊張が強くなる「痙縮」が現れることがあります。

腕が曲がったまま伸ばしにくい、手の指を握り込んで開きにくい、脚が突っ張って歩きにくいといった症状が代表的です。

さらに、動かしにくい状態が長く続くと、筋肉や関節の周囲が硬くなり、関節の動く範囲が狭くなる「拘縮」につながることがあります。

言葉の障害

脳梗塞後の言葉の障害には、主に「失語症」と「構音障害」があります。

失語症では、言葉が出てこない、相手の話を理解しにくい、文字を読めない、文章を書けないといった症状が現れます。

一方、構音障害では、話したい内容は頭の中にあるものの、口や舌の筋肉をうまく動かせず、呂律が回りにくくなります。

この2つは異なる障害であり、症状に合わせたリハビリやコミュニケーション方法が必要です。

飲み込みの障害

食べ物や飲み物をうまく飲み込めない「摂食嚥下障害」が残ることもあります。

食事中にむせる、食べ物が口の中に残る、食後に声がかすれる、食事に時間がかかるといった変化がみられます。

むせていなくても、食べ物や唾液が気管に入っている場合があるため注意が必要です。

嚥下障害は誤嚥性肺炎や栄養不足につながることがあるため、医師や言語聴覚士などによる評価を受け、食事の形や姿勢を調整することが大切です。

高次脳機能障害

脳梗塞によって、記憶、注意、判断、行動などの働きに影響が残ることがあります。これを高次脳機能障害と呼びます。

例えば、物事に集中できない、少し前のことを忘れる、段取りを立てられない、道具の使い方が分からない、身体の片側にあるものを見落とすといった症状があります。

身体を動かせる方でも日常生活や仕事に支障が出ることがあり、周囲から「怠けている」「性格が変わった」と誤解される場合もあります。

疲労感や気分の変化

脳梗塞後には、少し動いただけで強く疲れる、意欲が出ない、集中力が続かないといった変化が現れることもあります。

また、気持ちが落ち込みやすくなる、涙が出やすくなる、怒りっぽくなるなど、感情を調整しにくくなる場合もあります。

本人の気持ちだけの問題ではなく、脳梗塞による影響が関係していることもあるため、症状が続く場合は医療機関へ相談しましょう。

このほかにも、視野の一部が見えにくくなる、排尿を調整しにくくなる、けいれん発作が起こるなど、さまざまな後遺症や合併症がみられることがあります。

後遺症の現れ方には個人差があるため、一人ひとりの状態に合わせて支援していくことが重要です。

すぐに救急車を呼ぶべき症状

次のような症状が突然現れた場合は、脳梗塞の発症や再発が疑われるため、様子を見ずに119番へ連絡してください。

  • 顔の片側が下がる、口元がゆがむ
  • 片方の手足に力が入らない、しびれる
  • ろれつが回らない、言葉が出てこない
  • 相手の話している内容を理解できない
  • 急に立てない、歩けない、ふらつく
  • 片方の目が見えない、物が二重に見える
  • 視野の一部が欠ける
  • 急に意識がもうろうとする、反応が悪くなる
  • 今までにない激しい頭痛が突然起こる

脳卒中を見分ける目安として「FAST」という言葉があります。

  • F(Face:顔)笑ったときに顔の片側が下がる
  • A(Arm:腕)両腕を上げると片方の腕が下がる
  • S(Speech:言葉)言葉が出ない、ろれつが回らない
  • T(Time:時間)一つでも当てはまれば、発症時刻を確認してすぐに119番へ連絡する

すでに麻痺や言葉の障害などが残っている方でも、

「いつもより急に力が入らなくなった」
「今までなかった症状が加わった」

という場合は注意が必要です。

また、数分から数十分で症状が治まった場合も、脳梗塞の前触れである一過性脳虚血発作(TIA)の可能性があります。

「元に戻ったから大丈夫」と判断せず、すぐに医療機関を受診してください。

病院での治療とリハビリ

脳梗塞で救急搬送されると、まずCTやMRIなどの検査を行い、脳のどの血管が詰まっているのか、脳の細胞がどの程度傷ついているのかを確認します。

そのうえで、発症からの時間や症状、血管の状態、持病や服用している薬などを考慮し、治療方針が決められます。

急性期に行われる主な治療

発症から間もなく、一定の条件を満たしている場合には、血栓を溶かして血流を再開させる「t-PA静注療法」が検討されます。

また、脳の太い血管が詰まっている場合には、足の付け根や腕などの血管からカテーテルを入れ、血栓を取り除く「血栓回収療法」が行われることもあります。

ただし、すべての方がこれらの治療を受けられるわけではありません。

発症からの時間、脳梗塞の範囲、出血の危険性、全身状態などを確認し、医師が適応を判断します。

このほかにも、脳梗塞の原因や状態に応じて、血小板の働きを抑える薬や血液を固まりにくくする薬などが使用されます。

高血圧、糖尿病、脂質異常症、心房細動などを管理し、脳梗塞の再発を防ぐことも重要な治療の一つです。

状態に合わせて早期からリハビリを始めます

脳梗塞のリハビリは、後遺症が固まってから始めるものではありません。全身状態を確認しながら、医師の判断のもとで発症後の早い段階から始められます。

寝たきりの状態が続くと、筋力や体力が低下したり、関節が硬くなったりするため、最初はベッド上での姿勢調整や関節を動かす練習、座る練習などから始めます。

状態が安定すれば、立ち上がりや歩行、食事、着替え、トイレなど、生活に必要な動作の練習へ進みます。

リハビリでは、主に次のような専門職が関わります。

  • 理学療法士(PT)…寝返り、起き上がり、立ち上がり、歩行などの基本動作を練習する
  • 作業療法士(OT)…食事、着替え、トイレ、入浴、家事などの日常生活動作を練習する
  • 言語聴覚士(ST)…言葉の障害や高次脳機能障害、飲み込みの障害などを評価し、必要な練習を行う

回復期のリハビリ

急性期の治療が終わっても、継続したリハビリが必要な場合には、回復期リハビリテーション病院へ転院することがあります。

回復期では、麻痺した手足の機能だけでなく、

「一人でベッドから起きる」
「安全に歩く」
「着替える」
「食事をする」

など、その方が実際の生活で必要とする動作の獲得を目指します。

必要に応じて、杖や装具、車いす、手すりなどの福祉用具も検討されます。

退院後も再発予防と機能の維持を続けます

回復の程度や速さには個人差があり、退院後も身体機能や生活動作に課題が残ることがあります。

その場合は、外来リハビリや通所リハビリ、訪問リハビリなどを利用し、生活の場で練習を続けます。

また、医師から処方された薬を継続し、血圧や血糖値を管理することも大切です。

リハビリと再発予防の両方を続けながら、その方らしい生活を取り戻していくことが目標となります。

脳梗塞後遺症に対して鍼灸でお手伝いできること

鍼灸では、後遺症に伴う筋肉の緊張や痛み、関節の動かしにくさなどに施術を行い、リハビリや日常生活を続けやすい身体の状態を目指します。

筋肉の緊張やこわばりを和らげる

脳梗塞の後遺症では、麻痺した手足の筋肉が過度に緊張し、肘や手首、指が曲がったままになったり、足首が動かしにくくなったりすることがあります。

鍼灸では、緊張している筋肉だけでなく、肩甲骨や背中、骨盤周囲などの状態も確認しながら施術します。

筋肉の緊張やこわばりを和らげ、手足や関節を動かしやすい状態に整えることで、リハビリや着替え、歩行などの動作につなげていきます。

ただし、筋肉の緊張の強さや原因には個人差があるため、すべての方に同じ変化が現れるわけではありません。

痛みや関節の動かしにくさに対応する

麻痺した側の肩や腕は、筋力の低下や姿勢の変化によって負担がかかり、痛みが生じることがあります。

肩から手にかけて痛みや腫れ、動かしにくさが現れる「肩手症候群」がみられることもあります。

鍼灸では、痛みのある場所だけに施術するのではなく、肩甲骨や首、背中、腕などの状態も確認します。

痛みやこわばりを和らげ、関節を無理なく動かせる状態を目指します。

脳卒中後の肩手症候群については、リハビリと鍼治療を併用することが診療ガイドラインでも勧められています。

麻痺していない側の負担も確認します

脳梗塞後は、麻痺していない側の手足で身体を支えたり、杖や手すりを使ったりする機会が増えます。

そのため、麻痺していない側の肩や腰、膝などに痛みや疲労が現れることも少なくありません。

当院では、麻痺している側だけを見るのではなく、反対側の手足や体幹を含めて全身の状態を確認します。

身体の一部に負担が偏りすぎないように施術し、現在できている動作を続けやすい状態に整えます。

リハビリを続けやすい身体づくりを目指します

鍼灸を受けて一時的に筋肉が緩んでも、それだけで生活動作が身につくわけではありません。

立つ、歩く、手を伸ばす、物をつかむといった機能を高めるためには、状態に合わせた反復練習が必要です。

施術によって痛みや筋肉の緊張が和らいだ場合には、その動きやすい状態を日常生活やリハビリに生かしていくことが大切です。

その日の体調に合わせて施術します

脳梗塞を経験された方は、高血圧や糖尿病、心房細動などの持病があり、血液を固まりにくくする薬を服用していることもあります。

また、しびれや感覚障害がある場合には、刺激の強さに注意が必要です。

当院では、持病や服薬内容、血圧、疲労の程度、皮膚の状態などを確認し、その日の体調に合わせて刺激量を調整します。

必要に応じて医師やリハビリ専門職の方針も確認しながら、安全に施術を進めていきます。

通院が難しい場合は訪問鍼灸

脳梗塞の後遺症によって片麻痺や歩行障害、ふらつきなどが残ると、一人で外出することが難しくなる場合があります。

「転倒しないか心配」
「階段の上り下りが難しい」
「車いすでの移動に介助が必要」
「外出すると強く疲れてしまう」

といった理由から、治療院へ通い続けることが負担になる方も少なくありません。

そのような場合には、鍼灸師がご自宅や入居されている施設へ伺う訪問鍼灸をご利用いただけます。

ご自宅や施設で施術を受けられます

訪問鍼灸では、普段お使いのベッドや布団、椅子などを利用し、その方の状態に合わせて施術しますので、必要な道具は鍼灸師が持参するため、大がかりな準備は必要ありません。

また、慣れた環境で施術を受けられるため、移動による疲労や転倒の心配を減らせるので、通院の付き添いや送迎が難しいご家族の負担を軽くできることも、訪問鍼灸の利点です。

実際の生活環境を確認できます

ご自宅へ訪問すると、普段どのような椅子やベッドを使っているのか、立ち上がるときにどこにつかまっているのか、室内をどのように移動しているのかなどを確認できます。

施術室だけでは分かりにくい日常生活での身体の使い方を確認し、肩や腰、麻痺していない側の手足など、負担が集中している場所にも施術を行います。

「ベッドから起き上がりやすくしたい」
「着替えの負担を減らしたい」
「室内をもう少し安定して歩きたい」

など、ご本人やご家族の希望を伺いながら、生活に結びつく小さな目標を一緒に考えていきます。

病院での治療やリハビリと併用できます

医師から処方された薬を継続し、必要な診察やリハビリを受けながら、鍼灸は身体の痛みや筋肉の緊張を和らげるための補助的な方法として取り入れます。

通院が難しくなっても、身体のケアを諦める必要はありません。

ご自宅や施設への訪問をご希望の方は、現在の身体の状態や生活状況についてお気軽にご相談ください。

訪問鍼灸で健康保険は使える?

訪問鍼灸は、一定の条件を満たした場合に健康保険を利用できます。

ただし、脳梗塞の後遺症があるという理由だけで、自動的に保険の対象になるわけではありませんので、注意が必要です。

鍼灸で保険が対象となる症状

はり・きゅうで健康保険の対象となるのは、

神経痛
リウマチ
頸腕症候群
五十肩
腰痛症
頸椎捻挫後遺症

など、慢性的な痛みを主な症状とする疾患です。

そのため、脳梗塞後に神経痛などの慢性的な痛みが残っている場合は、症状や医師の判断によって健康保険の対象となる可能性があります。

医師の同意が必要です

健康保険を利用するには、現在の身体の状態を医師に診察してもらい、施術についての同意書または必要事項が記載された診断書を発行してもらう必要があります。

なお、同じ症状について医療機関で治療を受けている場合は、はり・きゅうの療養費が認められないことがあるため、事前の確認が必要です。

訪問には「通院が困難な理由」が必要です

自宅で施術を受けるための訪問施術料が健康保険の対象となるのは、歩行困難などのやむを得ない理由により、施術所へ通うことが難しい場合です。

健康保険を利用できるか分からない場合は、まず現在の症状や歩行状態、通院状況などをお聞かせください。

当院では、対象となる可能性を確認したうえで、医師の同意書や申請手続きの流れについて分かりやすくご案内いたします。

よくある質問

脳梗塞の後遺症は、鍼灸で治りますか?

鍼灸によって、脳梗塞の後遺症が必ず治るとはいえません。

当院では、手足の筋肉の緊張や痛み、しびれ、肩こり、疲労感など、その方が困っている症状に合わせて施術を行います。

病院での治療やリハビリを補い、少しでも日常生活を過ごしやすくすることが目的です。

施術による変化には個人差があるため、身体の状態を確認しながら無理のない目標を立てていきます。

脳梗塞を発症してから、いつ頃から鍼灸を受けられますか?

発症直後は、病院での救命治療や全身管理、早期のリハビリが最優先です。

鍼灸を始める時期に一律の決まりはありませんが、急性期の治療が落ち着き、主治医から許可を得てから検討します。

退院後であっても、血圧や体調が安定していない場合があります。

現在の病状や服用している薬などを確認したうえで、安全を優先して施術を行います。

発症から時間がたっていても受けられますか?

発症から数年たっている方でも、鍼灸を受けることはできます。

慢性期には、麻痺そのものだけでなく、身体をかばって動くことによる肩や腰の痛み、筋肉のこわばり、関節の動かしにくさ、疲労感などがみられることがあります。

残っている症状や生活上の困りごとを確認し、身体機能の維持や体調管理を目的として施術を行います。

病院のリハビリと併用できますか?

病院や介護施設などで行われるリハビリを続けながら、鍼灸を受けることは可能です。

ただし、はり・きゅうに健康保険を利用する場合は、同じ病気について医療機関で受けている治療との関係により、療養費が認められないことがあります。

事前に加入している健康保険へ確認することが大切です。

鍼は痛くありませんか?

鍼灸で使用する鍼は非常に細く、多くの場合は注射のような強い痛みはありません。

ただし、感じ方には個人差があり、身体の状態や施術する場所によっては、チクッとした刺激や重だるい感覚が生じることがあります。

刺激に敏感な方や鍼に不安がある方には、使用する鍼の本数や刺激量を調整しますので、遠慮なくお申し付けください。

通院できなくても施術を受けられますか?

歩行が不安定な方、車椅子を使用している方、外出時にご家族の付き添いが必要な方など、通院が難しい場合は、ご自宅や入居施設へ訪問させていただきます。

普段使用している椅子やベッドなどを利用するため、施術用の特別な設備をご用意いただく必要はありません。

健康保険は利用できますか?

医師の同意があり、対象となる症状や通院が困難な状態などの条件を満たした場合は、健康保険を利用できる可能性があります。

いつもより麻痺や言葉の症状が強い場合も、鍼灸を受けてよいですか?

「急に手足へ力が入らなくなった」「顔がゆがんだ」「言葉が出ない」「ろれつが回らない」など、いつもとは異なる症状が突然現れた場合は、脳梗塞の再発が疑われます。

このような場合は鍼灸やマッサージで様子を見ず、発症した時刻を確認して、すぐに119番へ連絡してください。数分で症状が治まった場合も、医療機関への受診が必要です。

まとめ

脳梗塞は、脳の血管が詰まって血流が途絶える病気です。

障害された脳の場所や範囲によって、片麻痺やしびれ、言葉や飲み込みの障害、高次脳機能障害など、さまざまな後遺症が残ることがあります。

後遺症への対応では、病院での治療とリハビリを継続し、再発を予防することが基本です。

鍼灸はその代わりになるものではありませんが、筋肉の緊張や痛み、しびれ、疲労感など、その方が抱えている症状に合わせて、身体を整えるお手伝いができます。

通院が難しい方には、ご自宅や入居施設へ訪問して施術を行うことも可能です。

医師の同意や対象となる症状など、一定の条件を満たした場合は、健康保険を利用できる可能性があります。

ただし、顔のゆがみ、片方の手足の脱力、ろれつが回らないなど、いつもとは異なる症状が突然現れた場合は、鍼灸やマッサージで様子を見てはいけません。

脳梗塞の発症や再発を疑い、速やかに119番へ連絡してください。

脳梗塞の後遺症は一人ひとり異なります。当院では、現在のお身体の状態や生活上のお困りごとを丁寧に確認し、無理のない施術をご提案します。

後遺症に伴う症状や訪問鍼灸について気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。


<参考文献>

日本脳卒中学会 脳卒中ガイドライン委員会編『脳卒中治療ガイドライン2021〔改訂2025〕』協和企画、2025年
日本脳卒中学会

国立循環器病研究センター「脳卒中」
https://www.ncvc.go.jp/hospital/pub/knowledge/disease/stroke-2/

国立循環器病研究センター 脳血管リハビリテーション科「対象疾患・治療法」
https://www.ncvc.go.jp/hospital/section/treatment/cerebro_rehabilitation/treatment-7/

公益社団法人 日本脳卒中協会「読んで学ぶ脳卒中」
https://www.jsa-web.org/citizen/91.html

Yang A, Wu HM, Tang JL, Xu L, Yang M, Liu GJ. Acupuncture for stroke rehabilitation. Cochrane Database of Systematic Reviews. 2016;8.
https://www.cochrane.org/evidence/CD004131_acupuncture-stroke-rehabilitation

Xue C, et al. Effectiveness and safety of acupuncture for post-stroke spasticity: A systematic review and meta-analysis. Frontiers in Neurology. 2022;13:942597.
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9428153/

厚生労働省「はり師、きゅう師及びあん摩・マッサージ・指圧師の施術に係る療養費の改定等について」
https://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken13/01-02.html

厚生労働省「はり師、きゅう師及びあん摩・マッサージ・指圧師の施術に係る療養費の支給の留意事項等について」
https://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken13/dl/251208_07.pdf

※ウェブサイトは2026年8月16日に確認しました。

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