東洋医学の「血」について!血虚・血瘀・血熱の症状も解説します
こんにちは、鍼灸師のトミナガです!
東洋医学の「血」は、一般的に知られている血液とほぼ同じ意味ではありますが、
「血」の運行には「肝・心・脾・肺」が関わっているところなど、異なっているところもあります。
「血」について
「血」とは血脈の中に流れる赤い液体で、いくつかの臓の作用と「気」の推動作用によって循環しています。
営気・津液・精によって構成され豊富な栄養を持っているので、全身を巡りながら養っています。
「血」は何から作られる?
「血」の多くは飲食物から作られますが、一定の量を維持するために「精」からも補充されます。
①飲食物ルート
飲食物は、「脾」と「胃」の消化・吸収によって水穀の精微に変化し、その後に「心」と「肺」の作用で「血」になり、「心」の主血作用によって全身に巡らされます。
「血」の多くは飲食物から作られるので、規則正しい食生活が「血」の状態に大きく関係しています。
②精ルート
「腎」に貯蔵されている「精」の一部が血脈中に入り、「血」の構成物質となります。
「血」の作用
「血」の作用は、大きく分けると”身体の滋養”と”神の維持”の2つです!
身体の滋養
「血」は身体に必要な栄養を豊富に含んでいるので、しっかり全身に巡らされていると組織・器官などが養われ、正常に生理機能が発揮できるようになります。
ちゃんと滋養されているかどうかは、顔色・皮膚・毛髪・筋肉・感覚・運動などに反映されます。
神の維持
神っていうと少し怪しいと思われてしまうかもですが(笑)
東洋医学でいう「神」とは、精神活動や意識のことを言います!
神を維持するには、「血」だけではなく「気」と「精」も不可欠ですが、
特に「血」が不足した場合は、精神・意識・思考活動に不調が現れます。
「血」の流れ方
「血」を全身に巡らせるために、「肝・心・脾・肺」などの臓腑の作用が関連しています。
それぞれが単独で働きかけているわけではなく、相互の協調運動によって「血」の正常な流れが保たれています。
なので、いずれかの臓腑の機能が低下すると、「血」の流れにも異常が起こってきます。
「肝」
→血流量の調節、疏泄作用で「肺」の機能を補助
「心」
→全身に送り出す
「脾」
→「血」が血脈外に漏れ出ないようにしている「気」の働き(固摂作用)を監督している
「肺」
→「心」によって血脈に送り出された「血」を宗気で推動させる。
血虚・血瘀・血熱とは、どんな症状?
「血」の病態は、大きく分けて3つあります。
「血」の不足による、血虚。
「血」の流れの不良による、血瘀。
「血」が熱を帯びたことによる、血熱。
血虚
「血」の不足、または「血」の養う作用が低下した状態のことです。
主な原因として、「脾」の機能低下によるものや過労で起こります。
・原因
飲食物の摂取不足・「脾」の機能低下によって、「血」を作る量が減少したとき。
過労によって「血」を消耗したとき。
ケガや手術、出産などで大量に出血したとき。
・症状
めまい、顔面蒼白
→「血」が不足することで、頭部や顔面部をしっかりと養えなくなります。
動悸、不眠、物忘れ
→「血」が不足すると「心」の機能も衰え、主血作用(血を送り出す)や神(精神・意識)に症状が出ます。
しびれ、けいれん、目のかすみ、視力低下、爪の変形
→「血」が不足すると「肝」の機能も衰え、蔵血作用(血を貯める)による身体の滋養ができなくなることで、特に「肝」に関連が深い「筋、目、爪」に症状が出ます。
月経時の血が薄い・量が少ない、月経痛
→「血」が不足すると女子胞(子宮や卵巣)に供給される「血」も少なくなるので、色が薄くなったり、量が減ったり、痛みが強かったりと症状が起こります。
血瘀
「瘀」とは淀んでいるという意味で、血瘀は「血」が停滞気味になっている状態のことを言います。
また「瘀血」というのは、滞っている血のことで、様々な不調を生む原因になります。
・原因
外から熱が入ったり内から発生したりして、「血」が損傷され、ネバっぽくなったとき。
冷たいもの(寒)が身体に入ったとき、寒の影響によって「血」の流れが滞ったとき。
気虚、気滞によって「気」の推動作用が低下し、「血」が滞ったとき。
血虚によって「血」の量が減ったとき。
打撲や捻挫などのケガによって、「血」が血脈から漏れ出して滞ったとき。
水分が身体に溜まることで「血」の流れが妨げられたとき。
・症状
じっとしてても痛い、刺すような痛み
→「血」が滞ると疼痛が生じます。
腫れる(腫脹)、腫塊
→「血」が滞って「瘀血」になり、腫塊が形成されます。
舌が紫がかる、皮下出血斑(斑点のような)
→「血」が滞ることで、身体には紫色などが多くみられるようになります。
シミ、色素沈着
→「瘀血」が「気」や「血」の走行を阻むので、皮膚を十分に養うことが出来ず起こります。
鮫肌
→「瘀血」が長期間停留することで、皮膚を滋養できず起こります。
月経痛、血の塊が多い
→「血」が滞ることで起こります。
血熱
何らかの原因で「血」が熱を帯びたことで起こります。
大きく分けると、心神(精神・意識)への影響、「血」の流れの乱れ、陰液の損傷の3つによって症状が起こります。
・原因
熱が身体に侵入したとき。
激しい感情の浮き沈みや情緒の乱れによって、内で熱が発生したとき。
辛い物や味の濃い物の過剰摂取によって、体内に熱が溜まったとき。
・症状
発熱、発赤、発疹、痒み
→熱が体内でたまり発熱したり、それが皮膚に溜まると皮膚の症状が現れます。
出血
→熱には体内の生理物質を促進させる特徴があるので、過剰な熱に侵されると「血」の流れが速くなりすぎて、血脈からあふれ出してしまいます。
熱っぽくなる、ほてる、寝汗、口が渇く
→熱によって陰液(血・津液・精)が損傷されることで起こります。
胸が苦しい(心煩)、不眠、精神不安
→血熱がひどくなると、「心」の機能(神)に影響を及ぼすことで起こります。
以上が「血」についてでした!
東洋医学では「血」に異常があると、不眠や精神的なものにまで関係することがあります。
この考え方は西洋医学にはないので、ぜひ参考にしてみてください(^^)
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