東洋医学の「津液」とは?流れが悪くなるとどうなる?
こんにちは、鍼灸師のトミナガです!
東洋医学の「津液」とは、体内の液体の総称です。
西洋医学では「津液」とは言わずに体液と呼んでいますね(^^)
存在としてほぼ同じ意味ではありますが、
東洋医学では症状を診て、どの臓腑で「津液」に異常があるか?という側面も踏まえて治療法を決定します。
「津液」について
繰り返しになりますが、
「津液」とは体内にある正常な状態の液体の総称です。
「津液」は脈外を巡って全身に分布していますが、一部は脈内の「血」を構成しています。
「気」や「血」とともに、身体を構成して生命を維持しているんですね(^^)
「津液」は何から作られる?
「津液」は飲食物から作られます。
飲食物が体内に入り、「脾」の作用によって吸収されて「津液」になるという流れです。
「津液」は「津」と「液」に分けられる
「津液」は「津」と「液」に分けられ、それぞれ性質や特徴が異なります。
「津」はさらさらとした流れやすい性質のもので、
全身を循環しながら、皮膚、皮膚と皮膚の間、両目・両耳・口・肛門・尿道口などに散布されています。
体外に出るときは、汗・涙・唾などとして出ます。
「液」はねばねばとした流れにくい性質のもので、
関節・臓腑・脳などに注がれ、滋養や潤滑させる役割があります。
「津液」の作用
「津液」の作用は、大きく分けると”滋潤・濡養”と”血脈を満たす”の2つです!
滋潤・濡養
滋潤(じじゅん)とは液体で潤すこと、
濡養(じゅよう)とは液体で養われることを言います。
滋潤しているところは、皮毛・皮膚と皮膚の間・目・鼻・口・関節。
濡養しているところは、臓腑・骨髄・髄海(脳)。
血脈を満たす
「津液」は脈中に入って、「血」の構成成分として、全身を養っています。
「津液」の代謝
「津液」の代謝とは、「生成・輸送・散布・排泄」の流れのことですね!
図にまとめると以下のようになります。
主に「津液」の代謝に関わっているのは、「脾」「肺」「腎」です!
また、図に記していませんが、「津液」の流れる道のようなものを「三焦」といいます(^^)
詳しい流れは以下の通りです。
まず「脾」の作用によって飲食物から水液が吸収され、「三焦」を通って「肺」に運ばれます。
「肺」に運ばれた「津液」は、「肺」の”宣発”と”粛降”の2つの作用で全身に巡らされていきます。
宣発では主に「津」を巡らせ、体表部に潤いを与えて、一部は汗や呼気という形で排出させ、
粛降では主に「液」を巡らせ、「血」の構成物質として血管内を巡ったり、コンドロイチンとして関節部分を潤したりします。
「津液」はやがて「腎」に回収されて、不要なものは尿として膀胱へ、再利用できるものは「肺」へ送られ再び全身を巡っていきます。
「脾」「肺」「腎」の中でも、
「腎」が体内すべての「津液」の代謝に対して重要な役割があるので、もし腎気が不足すると、正常な「津液」の代謝が困難になります。
「津液」の病態はどういうもの?
「津液」の病態は、大きく分けて2つの状態から引き起こされます。
「津液」の不足
「津液」の停滞
「津液」の不足
「津液」の不足とは、「津液」が減少した状態のことで、陰虚とも言います!
体液は陰に属するからですね(^^)
・原因
飲食物の摂取が不足して、「津液」を作る量が減ったとき。
何らかの原因で、過剰に汗をかいたときや激しい下痢になったとき。
外からの熱によって侵されたとき、または体内で熱が発生したとき。
・症状
口や咽頭の乾き・皮膚や髪の乾燥
→「津液」が不足すると、口腔内や皮膚、髪を潤すことができなくなります。
乾燥した便や尿量の不足
→「津液」の不足によって大便が乾燥、尿量は少なくなります。
「津液」の停滞
「津液」が停滞、もしくは集まって塊になると本来の役割を果たせなくなるため、身体にとって不要なものになってしまいます。
その形態・状態によって、湿・水・飲・痰とそれぞれ呼ばれますが、これらの総称は痰湿です!
・原因
「脾」「肺」「腎」の作用が低下し、「津液」を正常に代謝できないとき。
「肝」の疏泄作用が低下し、「津液」の流れが阻害されたとき。
湿気が多い環境、雨に濡れたり、水に浸かりすぎたりなどで、「津液」の停滞が起こったとき。
水分を過剰に摂りすぎて、体内に「津液」になれない水液が溜まって痰湿に変化したとき。
・症状
湿・水・飲・痰と形態もさまざまなので症状も分かれますが、
共通しているのは、停滞することで「気」や「血」などの生理物質の流れを阻害することです。
湿
湿とは、全身に広がって停留した希薄な状態の水液のことです。
湿が発生する原因としては、臓腑の作用が低下、水分の摂りすぎなどが挙げられ、
身体の重だるさ、むくみ、下痢などの症状が起こります。
(余談ですが、私は飲みすぎた次の日によくなります(笑))
湿気が多い季節や環境、雨が降っているときに悪化しやすいです。
水
水とは、湿よりも濃密な状態で滞留した水液で、現われる症状は湿と同じです!
飲
飲とは、水よりもさらに濃密に停留した水液のことで、腹部・胸脇部・皮膚などに停留することが多いです。
停留する部位によっては、お腹が鳴る・動悸・喘息・むくみなどの症状が起こります。
痰
痰とは、湿・水・飲が固まり、固形物に近い状態になったものです。
痰は「気」や「血」と同じ走行に流れるので、身体のあらゆるところで症状を起こしますが、上半身の症状が多く見られます。
症状としては、咳が出る・動悸・めまい・頭痛・意識障害・精神障害など。
他にも、食欲不振・皮膚疾患・運動障害・腫瘍などさまざまな症状が起こります。
以上が、「津液」についてでした(^^)
「気」や「血」よりも「津液」はあまり馴染みがないかもしれませんが・・・
「津液」にも重要な役割があって引き起こす症状も幅広くあります。
何かの参考になりましたら幸いです!
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