東洋医学の「精」とは?不足すると老化につながる!
こんにちは、鍼灸師のトミナガです!
東洋医学において、「精」とは「気」「血」「津液」と並んで、かなり重要な生理物質です。
主に、成長・発育・生殖や髄海(脳)の滋養という役割があるので、生殖器系や老化現象にも深く関わっています!
「精」について
精とは、身体の構成や生命活動を維持する最も基本的な物質です。
組織・器官を滋養、「気」や「血」を変化・生成したり、神(精神・意識)を維持する働きがあります。
「精」は何から作られる?
「精」は両親から受け継ぐ”先天の精”と、
飲食物から得る”後天の精”が合わさっているものです。
「精」の種類
「精」には”先天の精”と”後天の精”の他にも、”臓腑の精”と”生殖の精”があります。
それぞれの役割は以下です(^^)
先天の精
両親から受け継いだ先天的な物質で、「腎」に貯められ、成長・発育の源になります。
後天の精
「脾」と「胃」の作用によって、飲食物から得られる後天的な物質で、”水穀の精”とも言われます。
”後天の精”の一部は「気」や「血」に変化・生成され全身を巡り、残りの一部は「腎」におさまって腎精として補充されます。
臓腑の精
各臓腑に配られた「精」は、”臓腑の精”となります。
”臓腑の精”は臓腑を滋養するだけではなく、その臓腑の「気」を変化・生成させ、臓腑の生理作用を維持しています。
生殖の精
腎精には生殖に関する作用を持つ「精」が含まれていて、その「精」を”生殖の精”と呼びます。
男女の”生殖の精”が結合することによって、新しい生命が誕生します。
「精」の作用
「精」の作用は、主に4つあります!
・生殖
・滋養
・「気」や「血」へ変化・生成
・神(精神・意識)の維持
生殖
女性は7年周期、男性は8年周期で生理的な変化がおこると言われているように、
女性は14歳、男性は16歳になる頃には、腎精によって天癸(てんき)が作られ、生殖機能が備わるとされています。
滋養
「精」は身体のあらゆる組織・器官を滋養しているので、
「精」が問題なくあれば、各種の生理機能は正常に働くことができます。
「気」や「血」へ変化・生成
「精」は必要に応じて、「気」や「血」へ変化します。
なので「精」が不足なくあれば、「気」と「血」の活動を維持することができます。
このことからも、「精」が生命にとって最も基本的な物質であることがわかりますね(^^)
神(精神・意識)の維持
神とは、目や耳で感じる・いろんなことを考える・身体を動かす、といった精神活動・意識状態を主っているものです。
「精」が十分にあれば、神も問題なく維持することができます。
「精」が不足するとどうなる?
「精」は、主に成長・発育・生殖・髄海(脳)に深く関わりがあるため・・・
不足すると、発育不良・不妊・耳鳴り・物忘れ・生命力の衰え・早老などが起こります。
通常、「精」は30歳前後から徐々に減少しはじめますが、
高齢になってくると、白髪・脱毛・歯や骨が弱くなる・難聴・忘れっぽい・尿漏れなどが起こるのも、「精」の不足によるものです。
「精」の不足:精虚
「精」が不足した状態を精虚といいます。
「精」が不足すると、あらゆる組織・器官を滋養することができなくなるので、
小児では成長不良・発育不良、成人では生殖機能の減退・脳の滋養不足が起こります。
・原因
食生活の乱れ・不摂生によって、十分に「精」が作られないとき。
長期間の闘病やオーバーワークなどの過労によって、「気」が消耗されたとき。
多産・堕胎などによって「精」や他の生理物質が損傷されたとき。
性生活の乱れによって「精」を直接消耗させたとき。
体内で熱が発生したとき。(「精」も陰液のひとつでもあるため)
先天的に「精」が少ない。
大量出血・下痢・大量の発汗などによって「気」や「血」などの生理物質が失われたとき。
・症状
先天的に不足
成長・発育に必要な物質が足りないので、成長不良・発育不良が起こります。
また、「気」と「血」も同時に減少するので、虚弱体質や風邪を引きやすくなります。
生殖機能の低下
「精」が不足することで、不妊症・無月経・ED・性欲減退などが起こります。
滋養が不足する
骨や髄海(脳)が滋養されなくなることで、
骨の場合は、足腰のだるさや骨がもろくなり、
髄海(海)の場合は、耳鳴り・難聴・めまい・脱毛・忘れっぽいなどが起こります。
また、この状態が続くと、早老が見られるようにもなります。
「気」と「血」の不足
「精」が不足することで、「気」と「血」の量も減少します。
「気」と「血」が不足することで、あらゆる組織・器官の機能も低下し、倦怠感や無力感、脈が弱くなるなどの症状が現れます。
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